- OS：iOS5.1以降
- 掲載時の価格：200円
- このレビュー記事はこんな方にお勧めします：
- チェックポイント：前回、Weblockの仕組みについてご紹介しましたが、まだまだ説明不足だと思います。今回はなぜ、どうしてGoogleのDNSサーバが、Weblockの仕組みに登場するのか、簡単にご紹介しましょう。
わたしも、最初はなぜGoogleのDNSサーバを利用してプロキシ？ どうやって広告をブロックしてるの？なんて思っていました。なまじDNSやプロキシサーバというものを知っているだけに、逆に混乱した感があります。実際には、極々単純にGoogleのDNSサーバを「プロキシサーバ代わり」に使っているだけなんですね。「プロキシ代わり」なので、本当のプロキシではなく「ダミープロキシ」とデベロッパは称している訳です。
デベロッパの説明に、なぜGoogleのDNSサーバを利用しているかの説明がありますので、意訳しつつ、解説いたしましょう。デベロッパでは4つの理由を挙げています。
- iOSでは、ローカルのIPアドレスを利用できません。
これは、おそらくはローカルループバック(127.0.0.1)の事を指しているのだと思われます。iOSでは、PC/MACのように、自分自身の内部にあるサーバを指定することができません。必ず外部のIPアドレスが必要になります。ローカルプロキシと言えば、古参の方は、Proxomitron、polipo(solipo/dolipo)などを想像されるでしょうか。かつてはわたしもたいへんお世話になったソフトウェアですが、残念ながらこれらのようなローカル上の仕組みはiOSでは実現できないということです。 - 世界中のどこでも利用できて、安定していて、高速なサーバ。
まさに、Googleのサーバであれば、適任ですね。 - HTTP/HTTPSのトラフィックを処理しないサーバーで、なおかつ、処理が終了すれば、すぐに接続を閉じる。
これは、重要なポイントです。広告を除去するためのサーバとして利用したいのですから、前回のレビューでご説明した通り、レスポンスを返してもらっては困るのです。その点、DNSサーバはHTTP/HTTPSのレスポンスを返しませんから、これまた適任です。
また、すぐに接続を閉じてくれれば、その分だけ全体の速度が向上します。インターネットの仕組みというのは善意で成り立っているものでして、こちら側(ブラウザやアプリ)からリクエスト(要求)した後、たとえサーバからレスポンス(返答)が無くても、ある一定時間は返答を待ち続けるというのが慣習です。でも、サーバ側から接続を閉じてくれれば、返答を持ち続けることなく、すぐに次の処理に移ることができるのです。おかげでWeblockを利用しても速度低下なく、ブラウザやアプリを利用することができます。
ここで、一点だけ注意です。アプリの中には、広告サーバからのデータを随時受け取って内部処理するものがあります。これらのアプリの中には、広告サーバからのデータを受け取れなかった場合にはハングアップしたり、アプリ内部でレスポンスを待ち続けるために異様に動作が遅くなるものがあります。まあ、中には初期起動すらしないものもありますよね。 - 広く世界中で認識されているので、あなたがわざわざそのDNSサーバーについて調べる必要がない。
こういう点で、デベロッパの潔さを感じます。例えば、これが自社のサーバをダミープロキシとして利用しています、と言われたら、まず、そのデベロッパの出自から調べないと、やはり不安ですよね。セキュリティや、プライバシー的に。その点、IPアドレス8.8.8.8はGoogleのDNSサーバと世界的に認知されているので、心配は激減するでしょう？
そういえば。ロシア製で、Weblockのバッタもん(コピー品/ニセモノの意)がAPPストアでリリースされていますね。一時期無料セールも行っていたようなので、入手された方もいらっしゃるかもしれません。でも、通常価格はWeblockよりも高価ですし、いろんな観点から当鑑定団では当該のアプリはお勧めしません。あしからずご了承ください。
ちなみに。自力でプロキシサーバを構築できる知識/スキルと時間/財力のある方であれば、Weblockと同等以上の機能を実現することは可能です。でも、明らかに得られる効果とかかる費用が釣り合いません。200円の買い切り価格とは比べ物にならないほどの、何百倍もの費用になりますよ。